神社が最近『破局のご利益』で変に有名になってしまい、
巫女である宮司の娘・紫月八千代も大忙し。
一太郎はしばらく居候させてもらうことになった手前、
そんな幼なじみの彼女を手伝うことに。
そのうちに、一太郎は気づく。
八千代は親の言うことを素直に聞き、毎日巫女の仕事を努めているけれど……。
彼女はお守りのことも神様のことも、信じてはいなくて。
それに、昔のように笑わない。
いつもどこか諦めたような雰囲気を漂わせていて。
学校でも友達がおらず、孤立気味みたいで。
……しかし、ある夜。
一太郎がふと気配を覚えて目覚めると、八千代がまるで別人のような雰囲気で自分に覆い被さり、顔をのぞき込んできていて。
「本当は、自分も……」
小さな大和撫子が秘めた想いと悩み。そして、あこがれ。
自分だけに聞かせてくれたんなら、汲んであげなきゃいけない。
そうですよね、神様!
「うむ!」
……え?